Tuesday, February 19, 2013

センティネリアン centenarian



 米国で近ごろ流行している言葉に「センティネリアン」がある。語源は「センチュリー」(世紀)と同じ百を意味する「セント」、百歳以上の長寿者のことだ。
 米国では一昨年の国勢調査によると、百歳以上が約五万人。日本では昨年九月に厚生労働省が、一万五千人を突破したと発表した。意外にも米国は人口比で見ると、日本の約一・五倍という老人大国。百歳になると、大統領から誕生カードがもらえるそうだ。(注:2010年の米国の百歳以上は5万3364人で世界1、日本は2012年9月現在で5万1376人と発表され、世界2位となった。これで見る限り、日本は超高齢化社会に突入したようだ)
 だが、人間は一体何歳まで生きられるのだろうか?
科学者の間でも議論は絶えないが、百二十五歳までは可能だとの説がある。百歳以上生きることは、日々生命の限界への挑戦だ。
 長寿の秘訣を解明しようとするあくなき探求は、今や最先端の分子生物学や遺伝学の分野に及ぶ。
 いわく、年を取るに従って細胞に蓄積されるフリーラジカルという酸化物質が老化の原因だ。老化はガンを防ぐための生体の副作用…など諸説紛々だが、「不老」の決定的因子は発見されていない。
 そこで「健康な状態で老いを迎える」ことが次善の策となるわけだが、世界保健機関(WHO)は二〇〇〇年に、日本人が世界で最も健康で長生きしていると評価した。
 その中でも、関心を集めたのが沖縄県。百歳以上のお年寄りが、現役で働きながら壮健に暮らしている点に日米の研究者が注目し、二十五年間の共同研究の成果を「ジ・オキナワ・プログラム」(米ポッター出版)として発表した。そこには、伝統的な沖縄の郷土料理と体操を取り入れた四週間の健康長寿プランが紹介されていて、世界的な反響を呼んでいる。
 中国・唐の詩人、杜甫が「人生七十古来稀なり」と詠み、古稀(七十歳)が長寿の目標となってから千二百年余り。今は喜寿(七十七歳)、米寿(八十八歳)、白寿(九十九歳)を超えて、百賀(百歳)、茶寿(百八歳)、皇寿(百十一歳)…と道程は続く。
茶の間の人気者だった「きんさん・ぎんさん」姉妹にあやかり、元気で長生きしたいものだが、あいにく百歳以上の八割方は女性。センティネリアンになれるのは、女房だけかも。(2002年1月12日)

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