Friday, February 8, 2013

父の日



 「この日曜日は何の日か知っているかい?」と女房に尋ねたら、感心なことに「父の日でしょう」と答えた。が、その後がいけない。「母の日の付け足しじゃないの」   
 父の日のプレゼントといえば、日本では、ネクタイやワイシャツなどのサラリーマン・グッズが定番だ。「お父さん、もっと働いて」というわけ。アメリカでの人気は、バック・パック型のオムツ入れ、オフィス用の家族カレンダー、子どもが染めたTシャツ、家族アルバムなど。いずれも、マイホーム・パパを彷彿とさせるものばかり。
 この差はいったい何なのか?
 父の日が誕生したのは、前世紀の始め、革新主義時代を迎えた米国である。一九一〇年に、ワシントン州に住むソナラ・ドッド夫人が、男手一つで六人の子供を育て上げた父親に感謝するため、教会で彼の誕生日を祝ったのが始まりという。父の日が国民的行事となったのは、クーリッジ大統領時代の二四年以降。その後、正式に六月の第三日曜日と決められた。
 この日は、一家を支える大黒柱である父親の責任と愛情に感謝をささげる日であるわけだが、今や日米ともに父親の権威は大きく揺らいでいる。米国では、青少年のドラッグ乱用、十代の妊娠、家庭内暴力など、家庭にまつわる事件の原因は、何でもかんでも父親のせいにされる。
 ブッシュ大統領の十九歳の双生児姉妹が巻き起こした飲酒騒動について、ワシントンポスト紙のマジョリー・ウイリアムズさんは「この事件は、大統領の子どもだからという過大な要求に対して、反抗がエスカレートしたのだ」と指摘した。さらに、メディアは「ブッシュ氏は大統領になる決心をするまでは飲んだくれで、飲酒運転の前歴まである」とはやし立てた。
 だが、ブッシュ氏はこのほど、「全米父親サミット」で挨拶し、「私は、テキサス州知事の時も、父親としての役割を果たして来たし、大統領になっても果たして行く。二人の娘がテキサスのダラスで産まれた日から、ダッド(おとうちゃん)というのが、私が得た最も大切なタイトルなのです」と語った。
 父親は、いつでも、どこでも、子どもの幸せを願っているのです。
  (2001年6月16日)

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