Monday, February 11, 2013

家庭用シュレッダー 個人情報の山



 ワシントンに住んでいたときのこと。ATM(現金自動預払機)で現金を下ろそうとしたら、即時決済用のデビットカードが拒否されてしまった。
 銀行の二十四時間顧客サービスに連絡すると、「東京の秋葉原の電機店で不審な取引があり、あなたの口座から日本円にして約三十万円が二回に渡って引き落とされています。どこかでカード番号を盗まれたようですね」と言われた。
 さあ、それからが大変だった。盗られた金はカード会社が補填してくれたが、カードは再発行。被害届を出し、探偵社から長時間に渡る電話インタビューを受け、すべてが元通りになるまで一カ月以上かかった。
 カード番号は大切な個人情報だ。盗まれると、かくも痛い。このほかにも、住所氏名や生年月日から始まって、各種口座番号や保険番号など、個人情報と呼ばれるものの種類は実に多い。それだけに、情報を盗んで悪用する詐欺事件が激増している。「身分証明盗難リソースセンター」(ITC)によると、昨年一年間に米国で発生したこの種の犯罪は約七十万件、前年に比べて三割増だという。しかも、オンラインによる犯罪が増えているのが特徴だ。
 自衛策は、くれぐれも情報を盗まれないようにすること。個人情報は組み合わせた形で様々な所に登録されており、「その一つが漏洩しても、芋づる式にすべてが知られる恐れがある」というわけだ。
 他人に不用意に個人情報を漏らしたり、パソコンの周りにパスワード・メモを貼ったりするのは論外だが、家に郵送されてくる重要書類をそのままゴミ箱に捨てると、そこから情報が盗まれることにもなりかねない。そこで、せっせと古い書類を家で裁断することになる。
 米国では家庭用シュレッダーが大流行だ。十年前に出始めたころは一台百ドルもしたのが、年々需要が拡大し、今では一台十ドルの廉価品まで売られている。
 あなたも、古い請求書やクレジット会社からの明細書、銀行の満期通知などを丸めてゴミ箱に捨てていませんか。収集車が来るまで、ゴミ箱は宝の山なのですよ。ぜひシュレッダーをお使いください、とセールス・トーク。
(2001年8月25日)

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