Wednesday, February 13, 2013

風呂 アメリカにもフロマニアは多い




 少々自己宣伝めくが、私は和食を食べなくても平気だし、枕が変わっても寝られる。日本語が通じなくても、苦にならない。その限りでは、どこの国でも生きていける気がする。だが、一つだけ弱点がある。毎日、熱い風呂に入りたい。
 だから、帰国してからのひそかな楽しみは、休日に近所のお風呂屋さんに行くことだ。広い湯船で体を伸ばすと、しみじみ日本に生まれてよかったと思う。
 最近は銭湯も大きく変わった。大阪府下では、新たに温泉が出て、打たせ湯、マッサージ湯などいろいろなフロが造られ、遊園地のように楽しめる。料金が通常の三倍くらいするのに、結構大勢の人で賑わっている。日本人のフロ好きは、不況に負けないようだ。
 米国のフロと言えば、ご存知の通り、シャワー付きのバスで、本来体を洗うのが目的。湯を満たして中に浸かることはできるが、追いだきはできない。知り合いの特派員で、冬場にやかんで湯を沸かし、注ぎ足しながらぬくもろうとした人がいたが、「やっぱりあかん。かえって体の芯が冷える」とぼやいていた。
 米国で最も日本式のフロに近いのはジャグジーだ。ホテルのヘルスセンターや室内プールに併設されている泡ブロで、マッサージ効果がある。デメリットは、水着で入らねばならないので、何となく窮屈なこと。メリットは、たいがい男女混浴のため、まれに目の保養になることだ。
 私が住んでいたヴァージニア州には、温泉が出る。ワシントンから車で南西へ約四時間、アパラチア山脈には温泉が点在し、その辺りの地名はずばり、バス(フロ)郡。名前に釣られて、在米中、その中にあるリゾート温泉「ホームステッド」に遊んだ。入浴は予約制で湯はぬるく、不満が残ったが、何とそこは、第二次大戦中に日本大使館の人々が一時収容された由緒ある所だった。日本人と温泉の不思議な縁を感じた。注:その他の米国の温泉を探すSEARCH
さて、アメリカ人にも、無類のフロ好きがいる。朝鮮戦争時、日本に駐留した経験を持つ知人いわく、   
「家のシャワールームを改造して、日本式のフロに替えたいんだ。ヒノキのバスタブって日本で売ってるの?」
 フロマニアの世界でも、上には上がいる。
(2001年10月6日)

No comments:

Post a Comment