Tuesday, January 29, 2013

チップ戦争



 米国の半導体メーカー最大手のインテルが今週、この一-三月期決算で大幅減益となったと発表した。その理由として「パソコンの需要低迷を反映」などという説明を読むと、「なるほど米国のIT(情報技術)革命も陰りが出て来たようだ。バブルが弾け、株式市場も下げ相場になって、ついに"ニューエコノミー"にも終わりが来たのか」と悲観的になる。
 だが、半導体業界を知る人は、インテルの業績悪化は単純な需要低迷に因るものではないと言う。パソコンの心臓部に使用するCPU(中央演算処理装置)の半導体チップのマーケットが、インテルのライバル企業であるAMD(米国)の安売り攻勢で下落の一途をたどっているのだ。
 かつてCPUの独占ブランドであったインテルの『ペンティアム』が、AMDの代替製品の前に勢いを失いつつある。
 実は昨年末に、デスクトップ用の部品を買って自作パソコンに挑戦してみた。私も値段の誘惑には逆らえず、AMDのブランド、『アスロン』の一ギガヘルツのCPUを二万円ほどで買った。「いやあ、性能は(ペンティアムと)一緒で、値段は半額以下。保証付きです」と、日本橋の電気店の店員は太鼓判を押した。
 今年は、インテルかAMDか、チップ戦争はどちらに軍配が上がるかが注目されている。「昨年以上の値下げ競争が激化して、業界は混迷の度を深めるだろう」半導体業界の人は眉をしかめる。
 だが、翻って、パソコンを買いたい者にとって、この米国のチップ戦争は朗報ではないのか?
米国ではパソコンの過半数がオーダーメードか自作品で、消費者がニーズに合わせてCPUまで自分で選ぶ。パソコンの本体価格は、CPUの性能によるところが大きいので、チップの値下りの結果、値段はより安くなる。
 今やパソコンの利用はインターネットや電子メールだけではない。音楽を聞いたり、映画を見たり、マルチメディア時代を迎えているのだ。高性能パソコンが安く手に入るのは、懐具合の寂しいパソコンおたくにとって、こんな嬉しいことはない。
(2001年4月21日)

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