Monday, March 18, 2013

アルファ・ガール




 ワシントンポスト紙のローラ・ステップ記者は、米国の最近の中学・高校の女子生徒を三つのタイプに分けた。第一はグループでのボス的存在が、星座で一番明るいアルファ星のように輝きを放つから「アルファ・ガール」と呼ばれる。このアルファに憧れて取り巻きになるのが「ベータ」。これらに対して、わが道を行き、しかも協調性があって実行力のある子、いわゆる「生徒会長タイプ」を、「ガンマ」という。
 この中で問題になるのが、最近目立つアルファだ。例をあげると、「金髪で美人。学生食堂でテーブルに着くと、ベータ・タイプの女子生徒数人がさっと回りに座り、ヒソヒソと内輪話を始める」、「常に注目されたい。人に自分の好みを押し付けたがる」。そして、自分に従わない子を仲間はずれにしたり、いじめたりするという。もちろん「男勝り」で、「ひ弱な男子生徒は吹っ飛ばされる」のだ。
 どこの国にもいそうなタイプだが、ニューヨーク・タイムズ・マガジンのマーガレット・タルボット女史は、米国では「一九九〇年初頭から、女子は男子より消極的で感情的という観念が変わった」と述べ、「女子は、ゲンコツの代わりに意地悪でライバルを圧倒する」と報告している。
 アルファ・ガールの議論は、フェミニズム運動でも注目を集め、賛否両論を呼んでいる。
とくに、この分類を政治の世界に当てはめると、ヒラリー・クリントン前大統領夫人は、「ホワイトハウスにいたときは、アルファの典型だった」(ニューヨーク・タイムズ紙)という。
 ヒラリー夫人はクリントン大統領就任当時、ホワイトハウスを牛耳ろうとしてゴア副大統領と対立したし、政策決定に関与しようとして、米議会の猛反発、混乱を招いたこともあった。だが、彼女はカリスマ性があって人気は根強く、ついに上院議員に当選。その後はガンマ・タイプと評価された。そして、2008年には民主党の大統領候補としてオバマ大統領と候補指名を競い、結果は敗れてものの、国務長官として世界を駆け巡り文字通り「米国のトップ外交官」として活躍した。
 女性の社会進出にとって、アルファとガンマの兼ね合わせこそが成功のカギを握ると言えそうだ。 (2002年3月16日)

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